NRIサイバーパテント

社長コラム

第19回  特許情報標準データ ~審査経過情報の元ネタが替わった~

 公の特許情報としては公開特許公報や特許公報などが特許法に規定されている。公報は特定の節目で発行されるため、途中の審査経過を確認するには、特許庁から包袋(出願ごとの詳細な審査書類など)を取り寄せるか、独立行政法人工業所有権情報・研修館(以下「INPIT」)が運営するJ-PlatPatや民間事業者が提供する審査経過情報を観る必要がある。
 この審査経過情報の元ネタは、以前はINPITが提供する「整理標準化データ」であったが、2019年5月から、これに替わる 特許情報標準データの提供を開始した。そして2019年9月末に「整理標準化データ」の提供が終了した。
 予定されたスケジュールに間に合わせるべく、直前の仕様変更やデータの不備修正などで特許庁関係者はもちろん、民間事業者も対応に追われた。
 民間事業者のなかには、経過措置である「XML/SGML変換データ」を当てにして対応しているところが多いが、2020年4月にこのデータの提供は終了する。
 当社は「XML/SGML変換データ」のステップを経ずに直接特許情報標準データに移行することを決断し、「整理標準化データ」の提供終了前に移行を完了させた。
 今回のコラムでは、この特許情報標準データに切り替わることのインパクトについて紹介する。

データ更新は週次から日次に

 従来の「整理標準化データ」は週次で提供されていたが、特許情報標準データは日次で提供される。しかも、前者は半月ほど前に動きのあったデータであったのに対し、後者は前日に動きのあったデータである。

特許情報標準データの更新(例)

 つまり、審査経過情報の鮮度が半月前から前日なる。例えるなら、解凍マグロと生マグロの様な鮮度差があって、その取扱いや価値、なにより味が異なるはずである。

他社監視業務はこのタイミングで見直すべき

 まず、自社案件については、手続発生の都度、特許管理システムにデータを手入力すれば、あるいは代理人である特許事務所に確認をすれば、以前から最新の審査状況を把握できた。ただ、人が介在することによって作業工数がかかりミスが生じやすい。特許情報標準データを使用すれば作業工数が削減でき、人によるミスもなくなるはずである。
 そして、他社案件については、これまでは民間事業者のサービスを使って半月遅れの情報を週単位でウォッチし、緊急性の高い案件は、頻繁に包袋を取り寄せる活動が行われていた。これが、前日の情報が簡単・正確に入手できるとなれば打つ手も異なってくる。異議申立の準備期間も長くなる。また、他社特許が成立して迂回をする場合には、半月分の無駄な自社開発コストが削減できる。逆に拒絶や無効が確定すれば、事業の早めの方針変更ができる。
 週次で行っていた他社監視業務を、重要案件について日次で行うことになれば、知財担当者の業務負荷は増えるが、会社の損失はそれ以上に抑えられるはずである。このタイミングで他社監視業務を見直すべきと考える。

NRIサイバーパテントの対応(PR)

 弊社調査によれば、特許情報標準データに2019年9月末までに完全移行した民間事業者は弊社のみと思われる(もし誤っていればコラムを修正するので連絡いただきたい)。
 弊社知財情報サービス「CyberPatent Desk」では、日次で特許情報標準データを収録しているため、データ提供された当日(特許庁がデータ入力した翌平日)にユーザーの方が確認できる。
 また、「CyberPatent Link」を利用した知財管理システム「CyberPatent Topam」のデータ連係でも、このデータを利用することで自社案件の管理や他社案件の監視をタイムリーに行うことが可能である。
 知財業務では、信頼のおける事業者が提供する知財情報サービスや知財管理システムを利用することが肝要である。特に、競合他社の審査動向は自社事業への影響も大きいので、正確で鮮度のよい情報を活用することが望まれる。

NRIサイバーパテント株式会社 高野誠司